入門 野党共闘の柱・日本共産党を知るため志位和夫『綱領教室』を読む(1)
日本共産党が野党共闘の核になって4年になる。選挙協力は、その間、参院選で2回、衆院選で1回、行われた。野党共闘を語る上で、日本共産党がどういう政党なのか……を知る必要があろう。そこで、私は同党の「頭と心臓」である綱領を学ぶことにした。
志位和夫・委員長の著作『綱領教室』(新日本出版社)3冊を読破し、一枚2時間のDVD12枚を鑑賞したが、自分は魚類だったのかと思うほど、目からうろこが落ちていった。これから数回にわたって、感想文を公表する。
●私有財産も「ルールある経済社会」も保障
私はこれらの教材を読み解くに当たって、ミステリーの読み方のジャンル、倒叙法を用いた。即ち、日本の「未来社会」を描く最後の章(綱領第五章)から読み進めた。
まず、初めの驚きは、社会主義の通説、「共産主義の二段階発展論」を否定するのだ。つまり生産物の分配という観点から、「労働におうじてうけとる」という原則が実現する「第一段階」を社会主義と呼び、次のステップを共産主義と呼ぶというのは、マルクス・エンゲルスの理論にはないというのだ。レーニンの発案だという。日本共産党はマルクス・エンゲルスに甦り、二段階説を退ける。
次の驚きは、社会主義・共産主義社会になっても、「生産手段が社会化」されるだけで、私有財産は認められるし、議会制も民主主義も保障され、人間の自由が開花する社会になるということだ。『綱領』では、
「生産手段の社会化は、人間による人間の搾取を廃止し、すべての人間の生活を向上させ、社会から貧困をなくすとともに、労働時間の抜本的な短縮を可能にし、社会の全ての構成員の人間的発達を保障する土台をつくりだす」
と書かれている。
●指導政党はつくらない。国定の哲学も退けられる
また、次のように書かれている。
「 社会主義・共産主義の日本では、民主主義と自由の成果をはじめ、資本主義時代の価値ある成果のすべてが、受けつがれ、いっそう発展させられる。『搾取の自由』は制限され、改革の前進のなかで廃止をめざす。搾取の廃止によって、人間が、ほんとうの意味で、社会の主人公となる道が開かれ、『国民が主人公』という民主主義の理念は、政治・経済・文化・社会の全体にわたって、社会的な現実となる。
さまざまな思想・信条の自由、反対政党を含む政治活動の自由は厳格に保障される。『』社会主義』の名のもとに、特定の政党に「指導」政党としての特権を与えたり、特定の世界観を『国定の哲学』と意義づけたりすることは、日本における社会主義の道とは無縁であり、きびしくしりぞけられる。」
これまで論じたのは「綱領教室」12章だ。この後半にはドラマある共産社会について説明されるので、読めばキラキラと夢が輝くその章は本を手に取って、ご確認いただければ……と思う。
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