玉木雄一郎「希望の党」代表は4月24日、国会内で定例会見を行った。
冒頭発言
きょう、新党協議会を民進党の大塚代表はじめ関係者の皆さんと開催をいたしました。議論を重ねてきた新党の綱領、基本政策、そして規約について新党協議会としての成案を得ることができました。規約の中では、新たに総務会を設けてしっかりとした党内ガバナンスを効かせていくこと、また基本政策の中では人生100年時代を見据えた安心できる生活保障として、例えば日本版ベーシックインカムといったような安心できる新たな生活保障制度を提案していくといったことが決められました。
党名については、国民民主党ということで新党協議会としては成案を得たということであります。国民が第一の政治を目指していくという、その基本的な理念を党名に表したということで、この国民民主党、国民党ということで、これから国民の皆さんにしっかりと訴えをしていきたいと思っております。
私からは以上です。
質疑応答
【France10記者】もし日本が他の国から侵略されて個別的自衛権を発動した場合において、これは戦争にほかならないと思いますけれども、戦争では国際人道法違反として戦争犯罪が生じることを想定しなければならない。しかし、日本には戦争犯罪を扱う法体制が整備されていない。希望の党は軍事司法制度を整備する必要があるとお考えか。整備する必要があるとしたらどのようにすべきとお考えか。例えばもし駐屯地でヘリコプターが民家に墜落して何人もの死者を出した場合に罰する法体制がない。だから軍事司法制度をどのように整備するかということのご意見をお願いいたします。
【代表】極めて重要なご指摘だと思います。9条2項の問題に直結する問題です。わが国は自衛隊を出す場合に、派遣国等と地位協定を結びます。日本とアメリカとの関係で地位協定とよく言われますけれども、逆に相手国の一定の裁く権利を奪って、日本はその地位協定の下で現地で活動しているということがあります。ですから、先ほどおっしゃったような、仮に何かそういった犯罪のようなことを自衛隊が彼の地で犯してしまった場合に、先方政府のそういった裁く権利を奪っている以上は、わが国の国内において責任ある処罰の体系がなければ、ある意味、人権の問題にもつながりかねないということで、これは重要なご指摘だと思います。
それを今は交戦権を全く否認している9条2項の下で、果たして今のままでいいのかということは重要な論点だと思いますので、これはしっかりと議論を深めていかなければいけない課題だと思っています。まだ特定のアイテムを決めた考えがあるわけではありませんが、重要なご指摘だと思います。
【記者】国民民主党、国民党の英語名も含めて、国民の部分はどういうふうな表現になりますか。
【代表】ナショナル・デモクラティック・パーティー、NDPを今考えております。国民党は訳し方によっては、世界的にはピープルズ何とかとか、あるいはナショナリストとか、若干そういった極右的な訳をしているところがありますけれども、われわれはあくまでナショナル・デモクラティック・パーティーということが英語名だと今のところは考えておりますので、国民民主党、国民党、英語で言うとナショナル・デモクラティック・パーティー、NDPということになろうかと思います。
【記者】国民党だとピープルズ・パーティーみたいなイメージになるんだけど、そうではなくて、庶民党みたいなイメージじゃないということですね。
【代表】そうです。そこは、その議論もした上で、ナショナル・デモクラティック・パーティー、NDPということでいきたいと思っています。
【記者】新党協議会で、例えば国民民主党以外にどのような案があったのか。最終的に国民民主党を選んだ理由を改めて教えていただきたいんですけれども。
【代表】幾つかの案がありました。どれもいい案だなということで議論をしましたけれども、最終的に国民民主党、国民党ということに決まりました。一番大事な点は、やはり国民のための政党をつくり上げ、国民が第一、国民の生活が第一の政策を打ち出していこうということにおいて協議会のメンバーで一致をしておりましたので、国民が第一の政党を名乗る名前として何がいいのかという観点で議論をした結果、国民民主党、略称を国民党ということに決まりました。
【記者】玉木さんが共同代表に就任された直後、党の足腰を固めた上で、党の立ち位置をしっかり表していく。その上で、認知症対策であったりとか、あとは未来先取り政党なども掲げられましたけれども、この半年間、玉木さんが共同代表に就かれてから4%だった支持率が1%以下にまで低迷をしました。玉木さんのこの半年間の個人としてのヤマ場といいますか、どのような活躍をされたというふうに自負されているのか。それと、支持率が低迷した要因について、玉木さん個人に起因するところがもしあるのであれば、それについて伺えればと思います。
【代表】毎日がヤマ場でした。一つ一ついろいろな問題が国会の中、党内でも生じたと思います。その時々に全力でそれに向き合ってきたと思いますが、残念ながら支持率が低迷していることについては反省しなければならないと重く受け止めています。
【記者】代表は以前からこの新党協議の状況を見ながら小池知事に挨拶をしたいということをおっしゃっておりましたけれども、小池さんと会ったやにも聞いておるんですけれども、その辺の事実関係と、あと小池知事の役職について今後どのようになるかということを教えてください。
【代表】先ほど報告には上がりました。今後の役職というか、もう新しい党ができますので、希望の党として特別顧問という形で今はおられますけれども、今度は法的には希望の党は解散するということになるので、そこはその時点で一旦切れるということになろうかと思います。
【記者】先ほど小池さんにお会いになったということですが、この新しい国民民主党という党に対してどのような感想を述べられていたのかというところを教えてください。
【代表】特段、新しい党についての感想というのはおっしゃっていませんでしたけれども、日本はやはり厳しい状況に今あるという中で、改革を引き続き進めてもらいたいという言葉はありました。
【記者】2点ありまして、1点は新党関係なんですけれども、今後の党内手続きというのは分党の手続きが残っていると思うんですけれども、その進め方についてお聞かせください。
もう1点、新党以外の質問として、きょう野党が欠席した中で民法の改正案の審議をしたと思いますけれども、これについては希望の党と新党との……
【代表】まず前段の手続きは、詳細は私ちょっと承知していないので、速やかに役員会を行い、両院議員総会で最終的に決するということになろうかと思います。分党を先にするのか一緒にやるのか、そういった詳細についてはまた幹事長か、場合によっては事務方に聞いていただければと思っております。
民法についての考えは、それはどういった趣旨でしょうか。
【記者】成人年齢の引き下げについて。
【代表】成人年齢の引き下げについては、幾つかの内容が入っておりますが、わが党としては、基本的には望ましい方向ではないかというふうに考えております。投票年齢を18歳に引き下げましたので、それに合わせて整合性を取るところも出てくると思いますし、あとは男女の結婚できる年齢等、こういったことについても、なるべく男女の差のない制度にしていくべきではないかということもありますので、おおむね方向性としては賛成できる方向かなと思っています。
【記者】先ほどの質問の関連で、先ほど小池知事と会われたということですけれども、小池知事の方から、今度新しく希望・民進で結成する新党について、同調するとか同調しないとか、そういった意向は示されたのでしょうか。
【代表】それは全くありませんでした。ただ、希望の党については商標登録の問題もあると思いますので、そういった法的なものをしっかり確認をして、場合によっては知事がそれの権利をお持ちであれば、われわれがそのまま使うということではなくて、一度権利者である知事にお返しするようなことをしなければならないのかと思いますので、そういったことは事務的にきちんと詰めていきたいと思っております。
【記者】新党の関連ですけれども、先ほど新党協議会の中でもみんなで集えるというような、力を結集してというようなお話があったと思うんですけれども、新しくできる新党、国会議員の皆さんも希望の党の方で迷われている方もいらっしゃると思いますけれども、今後、規模感とか、どういった呼び掛けをしていきたいというのはありますでしょうか。
【代表】できるだけ多くの仲間に集ってもらいたいと思っておりますので、党名と大きな政策的な方向性、綱領等も決まりましたので、元からやってきた仲間も多いですから、ぜひ一緒に活動したいと思いますし、政権を狙う核となるような政治勢力を結集していきたいと思っています。
【記者】小池さんにお会いしたそうなんですけれども、練馬区の補欠選挙で都民ファーストは2人とも負けました。そのことを話題にしましたか。
【代表】私からは話題にはしておりません。
【記者】小池さんからは何か出ましたか。
【代表】いえ、特にございません。
【記者】違うお話で大変恐縮ですが、衣笠祥雄さんがお亡くなりになられて、コメントがもしあればいただきたいと思います。
【代表】私も野球ファンの一人として、鉄人衣笠祥雄というのは、中学時代に野球をやっていましたけれども、やはり憧れの存在でしたし、けがをしても力強さというか、タフネスというのは政治家としても見習わなければいけないなと。私にとっては憧れのヒーローでしたし、当時まだ今ほどきれいじゃない広島市民球場で活躍されているのを見るのは大きな励みになりました。あまりにも早いなと、お亡くなりになられたことを心からお悔やみ申し上げたいと思いますし、そういった挑戦するスピリットというのは、ぜひ私も頑張りたいなと思います。
【記者】新党の関係で、きょう新党協議会で基本政策が合意されたかと思うんですけども、その中で安保法制について違憲とされる部分の白紙撤回ということをやったかと思うんですが、民進党側の要望、譲った形かと思うんですけど、希望の党の去年の衆院選での立場とはぶれがあると思うんです。その辺を国民にこれからどういうふうに説明していきたいと思われますか。
【代表】全くぶれていません。これまで言った通りだし、これまで言ってきたことを書いただけですから。見直しが必要なところについては、希望の党に合流するときから憲法に則り適切に運用し、必要な見直しを行うというのが立場でしたから、必要な見直しを行うと書いているだけです。
【記者】セクハラ問題に関連してお伺いします。自民党の下村議員がセクハラの被害者に対してある意味では犯罪だという発言をされたり、その前には、日本のメディアは日本国家を潰すために存在しているのかというような発言もありました。この2点について受け止めをお願いいたします。
【代表】コメントするにも値しないような発言だと思います。被害者に寄り添ったり、その被害を受けた方がどういう思いをしたのかについての想像力が全く働かないような人たちが自民党には集まっているので、こういうことが起こっているのではないのかなと。ある自民党の女性議員が言っていたと報道されていましたが、「おじさん政党」というようなことをまさに体現しているのではないかなと思います。極めて残念な発言だと思います。
【記者】メディアの方も。
【代表】メディアに対しても、何と言ったんでしたっけ。
【記者】日本のメディアは日本国家を潰すために存在しているのかという発言です。
【代表】なぜそういう発言ができるんですかね。ネット上の書き込みを読み過ぎなんじゃないですか。もちろん主義主張が違う人はたくさんいますが、一定のお互いに対するリスペクトというのを持たないと、とにかく自分の主張と違うメディアを口汚く罵るというような文化が、日本だけではなくて世界的にもそういう傾向があるのかもしれませんが、少し常軌を逸しているような発言だと思います。
【記者】当面は国民民主党という名前に決まりましたが、この間、1年生議員を中心に、「新党ゼロ」という提案をしました。中ではVTRなども公開して、さまざまな熱い思いを語るようなVTRだったということで、1年生にとっては半年前に議員バッジを付けて永田町にやってきたのに、この半年で党名が変わるというところに翻弄されながらも一生懸命プレゼンテーションをした、その1年生に対し、今どのようなお気持ちでしょうか。
【代表】彼らは素晴らしいですね。私は、今回、両党がこうして合流するような話が出てきたときに、1期生が両党の宝だと思います。民進党側には衆議院の1期生はいませんから、その意味ではわが党の1期生が宝だと思っていまして、ゼロから新しくスタートするのであれば、彼らがやりやすい政党をつくるのが、今、両党の幹部の責任ではないかなと思います。
その意味では、「新党ゼロ」という提案をいただいたときに、最初は奇抜だなと思いましたが、ただよくよく考えると、あるいはその背景にあるコンセプトを聞くと、なるほどと思いましたし、そういった「新党ゼロ」のような提案をおかしいと、はなから決め付けるような、ある意味古くさい側に自分たちも立っているのではないのかということで、非常に私自身に対しても刺激となりました。
残念ながら多数を得られずに新党協議会では却下されてしまいましたが、ただ、ああいったビデオを作り、ある意味、世の中にも訴えやってきた彼ら1年生のある種の、まさにゼロからスタートしようと、過去のしがらみに捉われないで、ここから新しいスタートを切ろうというあの思いは、新党の中でしっかりと受け継いでいかなければならないと改めて思いましたし、新党においては彼らに活躍する場をしっかりと与えていかなければ、刷新感のある新党が始まらないと思いますので、彼らの提案、そしてその提案を受け入れることができなかった事実については重く受け止めて、新党のこれからの運営に生かしていきたいと思います。
【記者】国民民主党、新党の今後の立憲民主党との連携や、例えば大型選挙、国政選挙、衆院選などで、共産党との関係についてはどのようにお考えでしょうか。
【代表】新党ができた以上は速やかに選挙準備に取り掛かりたいと思います。場合によっては衆議院選挙も早いかもしれないという中で、立憲民主党をはじめとした野党との選挙区の調整については積極的に取り組んでいきたいと思います。もともと希望の党に民進党が合流しようとしたのも、現在の小選挙区制度の下では1対1の構造に持ち込まなければなかなか野党は勝てない。逆に言うと、1対1の構造に持ち込めばかなりの選挙区で勝利が見込まれるという、これはもう現実としての実態があります。ですから、新党ができた以上は、立憲民主党をはじめとした野党各党との協議、連携というものはしっかりと強化をしていきたいと思っております。
【記者】共産党は。
【代表】共産党については、天皇制、自衛隊、安保法制等において基本的な考え方が違うというのが今の現在の私の理解ですから、仮に政権交代した場合であっても、共に政権を一緒にするということは現時点においてはなかなか難しいと思いますし、共産党さんもそれは望まないと思います。ただ、選挙の実態を考えれば、選挙区調整というのが互いの考え方や利益を侵さない形でできるのであれば、それは最大限模索するし、政党のトップとしては、1人でも多く構成員たる議員が当選するように全力を挙げるというのが務めだと思いますので、政権を共にすることとは別に、選挙区での調整の在り方についてはどのようなことができるか、検討はしていきたいと思います。
【記者】改めて、玉木さん個人として、党のトップとして、希望の党には力のある論客が多数今います。その中で玉木さんが従来から訴えておられた改革保守政党としての党の立ち位置について、これはこの半年間、国民に示すこと、打ち出すことができたんでしょうかということと、あと、新党の展望について一言いただければと思うんですけれども、代表就任時に比べて玉木さんの表情から高揚感などが感じられないんですけれども、新党の展望についてはいかがでしょうか。
【代表】これからも、例えば先ほど言及があった認知症対策などについては新党の基本政策の中にしっかり書き込んでおりますので、それを新しい党の中でも実現に向けて頑張っていきたいと思っております。
これまでを振り返っても、国会でもいろいろなことを予算委員会等を通じてアピールをしたかったんですが、あまりにも政府のさまざまな不祥事が噴出する中で、そういった追及をせざるを得ないという中において、われわれの新しい政策について必ずしも十分にアピールできなかったことについては非常に残念だと思っておりますし、国民の皆さんにも十分なアピールができなかったことについては、じくじたる思いはあります。
【記者】財務省の福田さんの件なんですけども、テレビ朝日の記者はテレビ朝日の社員でありながらそれを週刊新潮に売った、売ったか持って行ったかは分かりませんけども、このやり方をどう思われますか。
というのは、私がかつて文藝春秋で取材したことが、週刊文春にもくれというのであげたんです。その取材された側というのはこのように言いました。俺は月刊誌・文藝春秋の取材だから受けた、週刊文春の取材だったら受けなかったと言いました。同じ出版社で出しているものでも性格が少し違います。そういった厳しいことがあるんですけども、テレビ朝日の社員が、それは何の目的で録音したか知りませんけども、自分の社のことに使わないで週刊新潮に流したということについてはどうでしょうか。
【代表】一般論として、取材したものを他社に流すという話と、今回、記者としての行為、被害を受けた個人としての行為というのは、多少分けて考えるべきなのかなというふうに思います。
通常であれば、取材したものを渡すというのは、それはさまざまな問題がやはり生じるのだろうと思います。ただ今回は、セクハラが事実とすれば、被害者として、今のままいたのではどうしてもそういった被害、あるいは事態についての真実が明らかにならないという中での行為だったのかなと思いますので、詳しくはその調査を待ちたいと思いますけれども、ただ、そういうことを社員の方がせざるを得なくなった会社側の対応についてもやはり検証が必要なのではないかと思います。
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