「『魚は頭から腐る』すべて安倍総理につながる話。野党の結束した対応を」岡田克也「無所属の会」代表 by 酒井佑人

2018年4月17日「無所属の会」岡田克也代表の記者会見が党本部で行われた。

■冒頭発言

日報隠蔽問題・森友問題・加計問題等での国会対応について

「自衛隊のイラク日報問題が、また新しい事実が明らかになったわけですが、このことも含めて、森友・加計問題、それぞれ本来であれば一つだけでも政権を揺るがすような事態です。国会で野党6党がしっかりとまとまって対応していかなければならない。きょうの執行役員会でも申し上げたところです。
財務省の次官の問題も出てまいりました。これも事実だとすれば大変重要な問題です。ただし、この問題はこの問題として、やはり民主主義の根幹に関わる三つの問題について手が緩むことがあってはならない。メディア的には次官の問題のほうが食いつきがいいというか、取り上げやすい面はあるかもしれませんが、もちろん重要な問題ではありますが、連休を控えて、証人喚問の実現など全力を挙げて従来のこの三つの問題に取り組んでいかなければならないと思っています。
安倍総理は、「自分が行政府の長として責任を持って対応する」ということを繰り返し言われるわけですが、私が現状を見ていて一番ぴったりだなと思う言葉は、「魚は頭から腐る」ということです。全てが安倍総理につながる話。その「魚の頭」が「私の責任できちんとします」と言われても、説得力は私はほとんど感じられないし、国民の皆さんもそういうふうに受け取られている方が多いのではないかと思います」

米英仏によるシリア攻撃について

アメリカを中心とする、イギリス、フランス、3ヵ国によるシリアへの攻撃がなされました。この点についてはあしたの外務委員会でも少し取り上げようと思っていますが、非常に難しい問題であることは事実です。多くの罪なき子どもや女性を含めて民間人が殺された。しかも毒ガスが使われた。サリンとか塩素とか言われていますが、その可能性が極めて高いということです。シリア政府がこれを使った可能性は、状況証拠から見てほぼ明らかだというふうにも思えますが、決定的な証拠はありません。ロシアの反対で、国連決議もない。そういう中で行われた武力行使です。
国連決議がないから何もできないかと言われれば、必ずしもそうではないと思いますが、今回のことについて日本政府は、まず「決意を支持する」と。「化学兵器の拡散・使用は決して許さないという(米・英・仏の)決意を支持する」。その上で、総理の言葉を借りれば、「3ヵ国の行動は、これ以上の事態の悪化を防ぐための措置と理解している」と言われました。
外務大臣はもう少し付言して、「悪化を防ぐための措置」ということについて、「(シリアの化学兵器の)研究開発能力を低下させる措置」だと。これを「理解する」と言われました。
ただ、研究開発能力を低下させるために国連決議もない中で武力行使をしていいというのは今までの論理にはなかったことで、従来、例えばコソボの折、これは別に国際社会の中で確立した考え方ではありませんが、やはり人道的な被害があるときには国連決議がなくても有志連合でも武力行使できるという議論がなされたことはあります。今回のことは、シリア政府が行ったということが証明されていないということもおそらくあるのだと思いますが、人道的なことだから武力行使をしたというよりは、研究開発能力を低下させるために措置をしたのだと、日本政府はそう説明しているわけです。
これは武力行使を行うことができる範囲をかなり拡大して考えているということになるのだと思います。したがって、説明としては不十分と言わざるを得ません。こういったことについて、もう少し丁寧に、そして将来的に武力行使が際限もなく広がっていくことのないように説明をする責任が政府にはあると思います。
また、北朝鮮の問題に関して河野大臣は、アメリカというのは従来から国際規範に違反するような武力行使はしないのだと、そういうふうに理解していると答えてきたわけです。これは、「あらゆる選択肢がテーブルの上に乗っている」とトランプ大統領が言っている、その「あらゆる選択肢」の中には武力行使もある。その武力行使の中には、国連憲章で認められていないような単独行為・先制攻撃も場合によっては入ってくる。それを「高く評価する」とか「完全に一致した」とか言うのはおかしいのではないかと私は指摘したわけですが、図らずもこのシリアの問題でやはりこういうグレーゾーンの問題というのが出てきているわけで、武力行使について「100%一致した」とか「高く評価する」というのは、やはり非常に危ない、必要のない発言だったのではないかと改めて感じているところです。

米英仏によるシリア攻撃について

【France10・及川編集長】

コソボ紛争のときにフランスのある学者が、これは推定有罪で攻撃したと、これは肯定的な文脈で言っていた。今回も、推定無罪ではなくて、アサド政権が化学兵器を使用したんだという推定有罪で行ったわけだが、しかしながら、ノーベル平和賞受賞団体の化学兵器禁止機関(OPCW)が14日から現地調査をすることになっており、今、現地調査に入っている。しかし、その14日の現地調査の前日に米英仏はシリアを空爆した。せめて査察調査の結果を待ってから攻撃すべきだったのではないかと思うが、岡田代表の見解を伺いたい。

【岡田克也代表】

そういう議論も当然あると思います。ただ、ロシアが、じゃあそういった査察団に対してきちんと査察を認めているかどうかというのは、また議論のあるところです。したがって、一つの要素だと思いますが、それが全てではないと思います。

「ロストジェネレーション」世代の雇用対策について

【France10・及川編集長】

2017年の労働力調査によると、35歳から44歳の非正規雇用率は28.6%。男女別で見ると、男性9.8%に対して女性は52.5%と、5倍もの差がある。また、非正規雇用の人の平均年収は2016年の国税庁調査によると172万円と余りにも低い。さらに非正規女性に限ると、その額は148万円となる。このロストジェネレーションの人たちの雇用対策をどのようにして解決すべきだとお考えか。

【岡田克也代表】

まず、いわゆるロストジェネレーションと言われる人たちの問題、今お話のあった中で、女性の非正規の率が非常に高いということは、これはロストジェネレーションに特有の現象なのか、それともそれだけではないのか。ロストジェネレーションでとりわけ女性の非正規の割合が高いというふうには必ずしも言えないように私は思います。
ロストジェネレーションの問題というのは、とにかく女性・男性問わず、非正規で働いて不安定な働き方をしている人が多い。ちょうど大学あるいは学校を出て就職するときに就職氷河期で正社員という道が閉ざされていた、そういう人たちがそのままずっと年齢を重ねて今日に至っている、そういう問題だと思います。
私はかつてこの問題を国会で取り上げたこともありますが、安倍さんも何か対策を考えなきゃいかんみたいな、非常におざなりな答弁しか返ってこなかったのですが、今、人が非常に不足しているという全国的な状況、私の選挙区でもとにかく地元の企業を中心に「人が採れない」ということが話題になります。そういうときに、やはり政府も後押しする形で、正社員として働ける、そういう道をつけていくべきではないか。そのためのインセンティブをもっと企業に与えるということも考えなければいけないのではないかと思っています。

取材&文:酒井佑人(ゲイレポーター)


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