武富和彦「沖縄タイムズ」編集局長と潮平芳和「琉球新報」編集局長が2015年7月2日、日本外国特派員協会にて記者会見し、海外記者からの質疑に応じた。
武富氏は冒頭で
「今回、沖縄の二紙を潰さないといけないといった百田氏の言葉には憤りを感じる。琉球新報と出した共同声明にも書いたとおり、政権の意に沿わない新聞・報道は許さないのだという言論弾圧の発想に関しては、民主主義の根幹である表現の自由・報道の自由を否定する暴論だと受け止めている。ただ、一番の問題と感じているのは、百田サンの言葉を引き出した自民党の国会議員だという風に想っている。沖縄の輿論を歪んでいるとして、正しい方向に持って行くにはどうすればいいのか……という質問内容は、沖縄県民をひじょうに愚弄するものであり、たいへん失礼だという風に感じる。新聞社に対して潰さないといけないといわれた以上に、沖縄の輿論が歪んでいるといわれた沖縄県民を馬鹿にした発言だと言うことで憤りを感じている。」
と述べた。続けて武富氏は
「沖縄の民意は明確だ。県知事選挙や名護市長選など色々あったが、昨年の選挙で、すべて自民党が応援する候補が負けた。そういう結果が沖縄の輿論が歪んでいるのだということを言いたいのだろうが、民主主義においてもっとも尊重されるべき選挙結果を否定すること自体が民主主義を否定することに他ならない。安倍政権は去年11月に当選した翁長知事と長らく会おうとしなかった。やっと会ったのが今年の四月だ。それまで安倍さんが云っているのは、普天間飛行場の辺野古移設に関しては、私たちは辺野古新基地建設と呼んでいるが、辺野古が唯一だと繰り返すばかりだ。菅官房長官や中谷防衛相にいたっては、『この期に及んで』だとか『粛々と』という言葉を遣って、威圧するような形で、沖縄と向き合っていた。翁長知事から上から目線だと指摘され、最近はその言葉を遣わないが、本音の部分では何も変わっていない。その安倍政権の姿勢が、今回の自民党議員の発言に表れたのだと思っている。」
と述べた。その上で
「ここ数年、沖縄のメディアに対する自民党の攻撃的な姿勢は目立っている。沖縄が政権の意のままにならないことをメディアのせいにしている形だが、メディアが輿論を操っているという見方に凝り固まっていると、問題の本質を見誤る。沖縄は国土の0.6%しかない土地に、74%の米軍基地が集中している。基地がある故に、米軍機が自由に爆音をまき散らかして上空を飛び交う、道路も米軍車両が行き交う、事故は多発する……。戦後70年、そういう苦しみを沖縄は背負わされてきた。今日に至ってこれ以上の苦しみはイヤだと声を上げたにも拘わらず、それは聞いてもらえない。現在世論調査をしても、政府が米軍基地の移設だと主張する辺野古への新基地建設に対しては、6割以上の反対がある。勿論、賛成の声もあるが、2割前後だ。そういう意味で言うと住民の意思は堅いものがある。にもかかわらず、住民の意思をして歪んでいると言い放つのはあまりにも無神経ではないか。」
と指摘した。
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