出口汪の「最強!」の論理的に読む技術

―――こどもたち・若い層の読解力不足が言われています。どのように考えていますか。

私が中学生・高校生だった頃は、漱石とか芥川を読んでいました。いまそういう文学作品を読む子どもたちはほとんどいない。何故かという映像文化が盛んなことと関連してくる。漫画・アニメ・ゲーム・最近ではYouTube。活字だけでなく絵と音による刺激ですよね。それで分かった気になる。こういう文化が悪いとは一概にはいえないが、それらが子どもたちの身近なところにあふれている。普通の子どもなら活字よりYouTubeだったりを見ますね。そうするとどんどん活字を読まなくなってしまう。ネットの洪水のような情報をその場その場でつかんでいくのは得意かもしれないが、じっくり深く物事を考えたりとか、物事を体系づけて考えることができなくなる。文学作品や評論を読んでいく読解力が落ちていくのは当然ですし、今後もっとひどくなると思う。

―――論理を身につける教材として『論理エンジン』を創られていますね。

読解力をつけるには、はじめて読む評論などを自分の頭でじっくり考えていく。その作業をつんでいく。生まれて初めてみる文章をしっかり考えていかなければならない。いまの国語は教師が文章を説明して覚えていくようになっている。模擬試験や論述などでは、ただ、なんとなく解答して点数を得て満足している。しかし、読解力は付いていないですよね。
 必要なのは論理です。読んだものを筋道を立てて論理的に整理していくということをしなければアウトプットできない。なんとなくぼんやり読んでいる子どもたちは人に、人に説明しようとしても説明できない。論理とは筆者の立てた筋道であって、筆者の立てた筋道をしっかり理解するから、頭の中で整理が出来る。考えることも出来れば、筋道に沿って人に説明することともできる。問題を子どもたちにただやらせるのでなく、論理という筋道を追わせなければならない。論理的に考えなければ、読解力は益々落ちていくでしょう。
 私はプロローグで書きました。
 【私たち日本人は、生涯、日本語でものを考えていきます。その日本語の使い方や、日本語でものの考え方を学ぶことによって、その人の一生が変わってしまうことだってあるのです。この教材にはそうした「ものの考え方」を学ぶ仕掛けがなされています。】
 みなさんも論理の世界に入り、論理エンジンで、隠された能力を全快にしましょう。

 

http://www.ronri.jp/

出口汪
出版社「水王舎」代表取締役。広島女学院大学客員教授。1955年、東京都生まれ。現代文講師として、代々木ゼミナール時代は伝説的な人気講師となる。旺文社のラジオ講座でも爆発的な人気を得る。総合予備校S.P.Sを設立し、東進ハイスクールに転職後、教材開発・出版を目的とした水王舎を設立。2才から12才までの「出口式みらい学習教室」を全国展開


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