冒頭発言
まず私から冒頭、きょう、民進党の小西参議院議員に対して統合幕僚監部に従事している30代の幹部自衛官の方が暴言を浴びせたという報道があります。これは重大な問題だと思います。先般、私が予算委員会の集中審議で安倍総理に質問していた際に、総理秘書官からやじのようなものを飛ばされたことが私自身非常に印象に残っていますが、今回のことも含めて、もちろんいろいろな考えが官僚の中にもあるのも確かですが、ただ予算委員会の場で秘書官がやじを飛ばすこと、そしてきょう、小西議員に対して罵倒するという幹部自衛官がいるということは由々しき問題だと思います。
思い出したのは、1938年3月3日に佐藤賢了陸軍中佐が「黙れ」という言葉を当時の帝国議会の議員に浴びせ掛けたという非常に有名な事件がありますけれども、80年たって何か非常に嫌な雰囲気が漂ってきたなという感じがしますし、安倍政権のさまざまな問題が出てくる中で政権末期の様相を帯びてきた、そのようにも感じます。非常にこれは看過できない重大な問題だと思いますので、これから国会でもしっかりと取り上げていきたい。確認をし、追及をしていきたいと思っています。
もう1点は日米首脳会談についてであります。安倍総理がトランプ大統領との会談に向けて出国されますが、これも大変心配をしております。鉄鋼、アルミに対する輸入制限、これは日本が適用除外から外れているという状況にあります。もちろん会談の中でこうした議論が、外してくれと、重要な同盟国として韓国同様適用除外を求めることになろうかと思いますけれども、実は韓国では、この鉄鋼、アルミの輸入制限を外してもらう代わりに米韓FTAの再交渉に応じ、特に自動車分野で大幅な譲歩をしております。ですから、日本もこの会談によって日米FTAを求められるか、あるいは既に11カ国で締結しているTPPについての再交渉を求められ、そして今締結しているものよりもわが国にとって不利な内容を求められる、そのスタートになるのではないかということを大変懸念しておりますので、もちろん北朝鮮問題などについての議論を行うのだと思いますが、国益を切り売りすることがないように、しっかりと注視をしていきたいと思っております。
私からは以上です。
質疑応答
【記者】代表から冒頭ありました幹部自衛官の話ですけれども、首相秘書官の話を引き合いになりました。防衛省の方も認めているようですけれども、自衛隊という実力組織の一員が国会議員に対してそういう暴言を吐いたという意味合いについてはどのようにお考えですか。
【代表】シビリアンコントロールが効いているかどうか以前の問題として、小野寺防衛大臣がそういった防衛省、自衛隊をしっかりと掌握できているのかということについても疑問を持たざるを得ない、そういう状況ではないかと思います。
いろいろな考え方が、人、信条、それぞれあると思いますが、ただ、やってはならないこと、やっていいことと悪いことがあって、国会議員をつかまえて幹部自衛官が暴言を吐くというのは、どう考えても度を越していると思いますから、自衛隊という実力組織の統制そのものについて大きな疑問を持たざるを得ないような状況に陥っていると、大変危機感を感じています。
【記者】代表は本日朝のラジオ番組の中で、今国会の会期末に「黒い霧解散」のような解散があり得るという可能性について言及されましたけれども、その発言の真意についてもう少し詳しくご説明いただけますか。
【代表】森友学園をめぐる決済文書の改ざんの問題、また加計学園の愛媛県の文書が新たに出てきて、いずれもこれまでの総理や大臣の国会での答弁がうそではなかったのかという疑惑が広がっております。また、財務省の次官のいわゆるセクハラ問題と、次から次へと問題が生じておりますし、先ほど申し上げたような自衛官の国会議員に対する暴言の問題。枚挙にいとまがないというような問題続出という中で、このままいけば自民党の中でも安倍総理の3選ということが難しいのではないかという声も、例えば小泉元総理からも出ているわけです。
そういう中で、それでも3選を何とか果たして、オリンピックを総理として迎え、また悲願の憲法改正を行いたいというのであれば、やはり起死回生の一手として、この通常国会が終わる、あるいは9月の代表選挙までのタイミングで解散総選挙を行い、そのことで正統性を改めて確保した上で9月の総裁選に臨むということも十分考えられますから、その意味では、疑惑の払拭を図るためのまさに「黒い霧解散」のような解散総選挙を行う可能性については高まってきたのではないかと思っておりますので、その意味でも、野党としてもそういったことに、いざというときに備えた体制づくりを急がなければならないと思っています。そういう観点から、今進んでいる新党協議についても、そういった文脈の中に位置付けながら、強い野党、まとまりのある野党をつくっていくということが重要だという観点から申し上げました。
【記者】今し方、代表の方からもおっしゃっていた財務事務次官のセクハラが疑われる問題について、財務省はきのう文書を発表しまして、女性の記者について思い当たればという形で調査に協力するように呼び掛けました。この調査手法をめぐっては、閣僚の一人である野田総務大臣の方からも若干の疑問を呈するような発言などが出ていますけれども、こういった調査の在り方というものについてどのようにお考えでしょうか。
【代表】私も疑問です。その被害を受けた恐れのある女性のほうに申し出てくれというのは、非常に心理的負担も多いと思いますし、取りようによっては恫喝のようにも取られてしまうということですから、やるべきは次官自身が一番よく分かっておられると思いますから、外部の者が次官にしっかりと調査をかけるということを行うべきであって、被害を受けた恐れのある女性に名乗り出ることを求めるのは、調査としても疑問があると言わざるを得ません。
【記者】財務事務次官のセクハラ問題かどうかは知りませんけれども、この記者ははっきり言って民放の記者なんです。大きな会社の記者なんです。それが被害を受けたのであれば、なぜ自分のところでこういうことを報道しないのですか。しかも、財務省は改ざん問題で忙しいのに、次官がこんなに暇だということを何でやらないのか。僕は報道の仕方が間違っていると思うんですよ。これは、トランプさんの問題が続いても、みんな向こうでは自分が被害を受けたということを言っているでしょう。なぜ週刊新潮を通してやらなきゃいけないんですか。これははっきり言って腰抜けの報道だと思いますよ。
【代表】背景についてはこれから調査していかなければならないのですが、確かにある主要新聞社、テレビに所属のいわゆる財研に所属の記者であれば、当然属している社に報告をし、その社から何らかの抗議を申し入れるというのが通常のやり方なのかなという気はします。それがなくて週刊誌の側から直接報道がなされるということについては、確かにどういう経緯なのかなというところは確認をしなければいけないというのはおっしゃる通りだと思います。
【記者】議員年金のことについてお伺いしたいんですけれども、与党内でいわゆる地方議員の年金について事実上復活させる法改正が検討されていますが、これについて希望の党としてのスタンス、お考えをお聞かせください。
【代表】反対です。もちろん今、議員の成り手が少なくなっているという問題はありますけれども、ただ、年金を復活すれば議員の成り手が増えるのか。問題に対するアプローチとしては、私は違和感を感じざるを得ません。どうしても生活のことで若い人がなかなかなりにくいということであれば、議員の数を減らして、そこで生まれた財源を報酬のアップにつなげるとか、やり方はいろいろあると思います。今のこの要望というのは、むしろ今既に議員になっている方、特に高齢の議員の方々の生活保障を求めるような、そういった側面もあるのではないかなと思いますので、行政改革、財政状況も厳しい時代に、本当に国民の理解が得られるのかどうか、それは疑問を感じます。
【記者】財務次官のセクハラ問題にちょっと戻って恐縮なんですけども、与野党関係なく次官の辞任論、あるいは更迭すべきではないかというふうな意見も出ています。希望の党幹部では麻生財務相の責任なんかも問うような声が出ていますけども、代表はどのようにお考えでしょうか。
【代表】麻生さんの責任は重いと思いますね。ただでさえ既にもう辞任をしていてもいいような状況だと思います。決裁文書の改ざん問題、これはまだまだ解明が進んでおりません。調査結果、中間報告さえ出さないという中でこのセクハラ問題。今、関心がセクハラ問題にぐっと移っていますけれども、決裁文書の改ざん問題の真相究明はどうなったんですかね。それを担当大臣として全く行っていない、放置したままということでも十分辞任の理由に当たると思いますし、今回のセクハラ問題についても、事実のしっかりとした確認は必要ですけれども、もし事実であれば、ご本人がおっしゃっている通りアウトですし、そのことは、よってもって麻生大臣もアウトだと思います。
【記者】新党についてですけれども、希望の党が所属議員のほうに月曜締め切りだったと思うんですが、意見募集をしたと思うんです。現時点で代表が知る限りどういう意見が集まっているのかということと、民進党のほうはきょうから意見交換会を開いていますが、希望の党としては、今後、党内手続きをどういうふうに進めるのでしょうか。
【代表】まだ私も全部見ていないんですが、非常に建設的な意見が多数出てきていると聞いております。民進党はきょうから議論ということですが、わが党も速やかに、早ければあしたぐらいから、そういったいただいた意見も踏まえた党内議論をしっかりやっていきたいなと思っています。みんながある程度納得できる中身にしていくことが大事だと思いますから、丁寧な党内議論を行っていきたいと思います。
【記者】イラクの日報の隠蔽問題ですけども、ちょうどよいときに、結局、小泉さんが言っていた非戦闘地域でないところに自衛隊が行っていると。しかも、自衛隊の空自のほうが米軍を運んでいるんです。それで、このイラク戦争に関しての検証というのが、ジョージ・ブッシュ・ジュニアにしてもトニー・ブレアにしても、国連ですら、間違っていたと言っているんです。イギリスなんかはもうこんな厚い検証ですよね。ところが、日報はたかだか7ページですよ。
それは玉木さんも当時、官僚としてご存じだと思うんです。要するに、第二次大戦におけるドイツの検証と太平洋戦争における日本の検証が全然違っていた。その結果、この民主主義がどうなっていたかということが問われるように、要するにイラクの日報の隠蔽問題に関して、小泉さんを呼んだらどうですか。
【代表】今回のイラクの日報が新たに出てきた話も、非常にこれは重要な問題だと思います。1万4000ページを超える中身の分析が必要だと思いますが、少なくとも数カ所に「戦闘」あるいは「銃撃戦」という言葉が出てくる。これは、これまで累次にわたって国会で説明されてきた、非戦闘地域にのみ自衛隊が出ているんだということとの整合性がやはり問われる文書だと思います。
おっしゃる通り、例えばイギリスではチルコット委員会というのが260万語の膨大な検証を行いました。第1回、第2回とやったんですが、不十分だということで3回目にやって、そうした包括的な総合的な検証を出して、そして、法的根拠が乏しかったということ、他に取り得る手段があったということ、こういったことをまとめたのが2016年です。つい最近ですよね。
ですから、日本としては、あの戦争に参加したことに大義があったのかどうか、このことについては私は改めて検証すべきだと思いますし、総括をせず、そういった過去の経験を生かさずに次なる戦闘に加わっていくようなことがあってはならないと思います。
もし今回出てきたような文書、あるいは検証がしっかり行われた中で議論がされれば、2015年の安保法制の内容はあの通りだったのかどうか、こういったことにも及んでくるわけでありますから、10年以上の前の話ということではなくて、これからに向けたわが国の、特に安全保障政策、中東をはじめとしたわが国との地理的に非常に遠い地域への関与の在り方については、検証した上で改めて再検討が必要だと思います。
【記者】シリアで塩素ガスが使われた問題で、ノーベル平和賞受賞の団体の化学兵器禁止機関が14日から現地調査するのに、13日に英米仏はシリアを空爆しました。査察調査の結果を待ってから攻撃すべきではなかったのでしょうか。代表はどうお考えですか。
【代表】いかなる形であっても非戦闘部員、女性や子どもも含む一般民間人に対して化学兵器が使われたとすれば、これは大問題だし、許し難い行為だと思っております。これについては厳しく批判をしたいと思います。
併せて、英米仏のこれに対する武力攻撃については、われわれはあくまで「近くは現実的に、遠くは抑制的に」ということでありますから、武力行使について賛成するものではありません。こういった化学兵器の使用を放置してはならないということはその通りでありますが、だからといって、武力行使についてもろ手を挙げて賛成するものではありません。
わが国の、少なくともわが党の安全保障・外交の在り方は、近くについては現実的に対応するけれども、遠くの問題についてはできるだけ、武力行使については抑制的に、人道支援は積極的に行っていくということですから、その観点からすれば、今回シリアの中で行われている子どもなどに対する化学兵器の使用、これはもう事実であったら許し難い行為でありますが、英米仏の武力行使については必ずしも賛同できるものではないと思っています。
【記者】新潟県知事の関係でお伺いします。女性問題をめぐって週刊誌の取材を受けて、周囲に辞職の意向を伝えていたと報道されまして、本日の会見では進退は明らかにされませんでしたけれども、この一連の動きについて代表の受け止めをお願いします。
【代表】一部報道は聞いておりますけれども、まだ事実関係がよく分からないので、改めてその事実関係が分かった上で、知事が会見等をされるかと思いますが、野党の応援もたくさんいただいて当選された方ですから、どういう形になるのか。仮に辞職するということになれば残念だと思いますし、とにかくまずは事実関係を明らかにしていただきたいと思います。
【記者】今回のシリアの爆撃に対して、安倍さんは是としたわけですけれども、この前にオランド・フランス元大統領が、前回オバマ大統領が尻込みしたということを批判しています。今回、追従したということは、要するにそれはイラクと同じようなことが言えると思うんです。大平正芳先生は堤清二さんの「茜色の空」で太平洋戦争の検証ができていないということをおっしゃっていましたけど、イラク戦争の検証というのは、まな弟子であるあなたがやるべきです。
【代表】検証ということは極めて大事ですね。戦争というのは常に、これは国民も含めて、ある種の熱狂の中で武力行使を受け入れたり容認したり、時に喝采を送ったりする、そういう状況の中で戦争が始まることが多いのは歴史の教訓です。ですから、実際に行われた戦争、戦闘に関して開戦が行われたその原因、理由、根拠、こういったものについては冷静な検証が必要で、それを歴史の教訓として次に生かしていかなければならないと思います。
武力を行使すれば必ず傷つく人、亡くなる人が出てくるので、わが国の戦後の平和国家のありようとしては、他に取り得る手段があれば、それはやっぱり武力行使を回避する場合であっても、旧3要件、新3要件の中においても他に取り得る手段がないということをぎりぎりまで突き詰めるのがわが国の国柄だと思っていますから、その意味でも、単にアメリカから言われたからとか、要請があったからということで武力行使をすることがあってはならないので、その意味でも、わが国独自の判断基準を持つためにも、過去の検証、それはイラク戦争も含めた検証は不可欠だと考えます。
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