小沢一郎「生活の党」代表は2014年5月23日に東京都内で行われた集会で「日本の政治と外交」について講演した。
小沢外交哲学・要旨
政権=与党は口を開くと日米関係日米同盟と口にする。日米関係が日本にとって、過去・現在・将来・最も大事な二国間関係であることは間違いないことだ
ただ,それと同時に朝鮮半島との関係、中国大陸との日中関係。まさに隣りの国なので,日本にとって重要な二国間関係であるということは誰もが否定できない事実だ。
安倍外交で危機に立つ日米同盟
さて、現在の日本は外交政策においてこの大事な日米関係や日韓関係、そして日中関係が上手く信頼関係の下に機能しているだろうか。日中関係、日韓関係等については上手くいってないことは周知の事実ですが、日米関係も上手くいっていない。
オバマ大統領が来日して安倍首相と共同声明を出した。共同で記者会見を聞いたが、ほぼ型通りの儀礼的なものでしかなかった
いま安倍政権の下で日米関係はいっそう危ういところに来ている。アメリカは非常にこの安倍政権に対して懐疑的で、危険なイメージを持ってるように思えてならない。
安倍発言の色々な発言は戦後体制の否定に繋がる。
極東軍事裁判の否定、あるいはサンフランシスコ平和条約の否定ということにも繋がりかねない。そういう戦後のアメリカの推し進めた政策を否定するような言動をしている。
これはアメリカが最も嫌がる、換言すれば、危険視する考え方である。アメリカは民主党政権の政治を嫌がり忌避するが故に、自民党政権を作ったけれども、アメリカが考えてもいなかった、多分「鬼っ子」を産んでしまったと思っているのではないか。
先日の日米首脳会談を見ると、共同宣言も記者会見も表見的で、「日米同盟」という言葉が内包する信頼に結ばれた二国間の関係とはとうていいうことができない。
台頭する中国とどう向き合うのか
日中関係は完全に信頼関係が失われてしまったような状況にある。
尖閣(諸島)の問題。野田内閣の尖閣国有化に端を発して、ギクシャクしてきた。先日も戦時補償 (戦争賠償+戦後補償)に関連して,何を今さらと思うが鉄鉱石輸送船が差し押さえされた。
そういうような中で、日中の政治家同士の話合いがまったくできていない。そして将来に亘って、そのような状況が続くように思える。
これは中国の内部事情にも依る。中国は2015年に世界一のGDPになるかも知れないといわれていて、「権力の集中」とそれに伴う「経済的格差」が甚だ大きなものになっている。
それと同時に、旧来の中国の歴史の中でも繰り返し行なわれてきたが、民族の独立の抗争が激しくなっている。新疆ウイグル自治区と呼ばれる所では、三十数名の犠牲者が出る爆発事故が最近になって起きたと言われている。チベットではダライ・ラマ14世が未だに国外に亡命している。色んな所で民族の紛争が起こりつつある。中国本土内においても格差が各所でできているために暴動・不満のデモ・暴動等が頻発している。これは報道されているよりも、その何倍・何十倍もの規模あるいは数で起きているとも伝えられている。
中国では軍部の影響力がましている
こういう状況下で、もう一点、中国の内部事情について心配なのは軍部の影響力が非常に強くなっている点です。これは10年前に胡 錦濤政権ができたときは、軍事委員会の構成メンバーは旧来たしか 7名の委員のうち、軍人は 3名かせいぜい 4名でした。胡 錦濤政権で、軍部が何らかの権力闘争の結果として力を増したんのだろう。軍事委員会の人数が 10名かな11名に増えほとんど現役軍人が委員になった。政治家は胡 錦濤主席1人と言うような状況に陥ったわけです。それ以降も軍部の力が大きくなっている。そして、尖閣の問題だけではなくして、ベトナムやフィリピンと、海洋利権をめぐって、中国の膨張政策が続いている。
膨張主義も危険だが,中国の権力基盤がかなり揺らぎつつあるのではないかという気がしてならない。
私は何回も中国へ行きまして、幹部の人達とも 色んな議論をしてきた。面と向かって「このまま、共産党一党独裁を続けていったならば必ず矛盾が表面化する。絶対に共産党独裁は維持できない。だから、あなた方がコペルニクス的な大改革を行った上で政権をさらに維持しようと考えない限り、必ず破綻する」と、私は何人かの方々との議論の中で申し上げてきた。そのこと自体は良識あるリーダーは理解している。
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