歴史を変えたミッテランの死刑廃止・宣言-MITTERRAND et la peine de mort-

1981年のフランス大統領選挙は、現職で中道主義のヴァレリー=ジスカール=デスタン大統領と右派のジャック=シラク、左派・社会党のフランソワ=ミッテランの三つどもえの争いとなった。争点の一つとして、「死刑」制度があげられ、デスタンは死刑維持を掲げ、シラクは死刑制度の存立を国民投票で問うと主張した。当時の世論調査では63%のフランス人が死刑制度を支持していた。

では、ミッテランはどのような立場をとったのか。ミッテランは大統領選挙・投票前に出演する最後のテレビ番組で、死刑制度について問われ次のように応えた。

「良心において、良心に基づいて、わたしは死刑に反対します。それと反対のことを告げている世論調査を読む必要はありません。過半数の意見は死刑に賛成なのです。わたしは、共和国大統領の候補者です。わたしは思っていることを言います。わたしの信ずること、わたしの心が信じていること、わたしの信念、わたしの文明への配慮を口にします。わたしは死刑には賛成できません」

難解な言葉を好んだミッテランにしては、実に簡潔明瞭な発言だった。フランス国民はミッテランによるこの「死刑廃止宣言」を知った上で彼に投票し、ミッテランは見事に当選したのであった。そして、1982年に、ロベール=バダンテール司法相のもと、死刑制度は廃止された。

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