いやはや、それにしてもだ。まさかここまで伸長するとは……。
もちろん、フランスの極右政党「国民戦線」のことだ。
6月22日から25日までEU28ヶ国で行われた欧州議会選挙はフランス政界に衝撃を与えた。
74議席を争ったフランスではマリーヌ=ルペン党首率いる極右政党『国民戦線』が24.85%の票を得て24議席(改選前は3議席)を獲得し第一党に躍り出た。前回選挙でトップだったサルコジ与党の右派UMP(民衆運動連合)は20.80%の票を得て20議席(改選前は25議席)を獲得し、オランド政権を支える社会党(+左翼急進党)は13.98%の票しか得られず13議席にとどまった。
(国民戦線の集会でガッツポーズをとる創立者のジャンマリー=ルペン『国民戦線』名誉党首 撮影:及川健二)
2011年党大会で党首に就いたマリーヌ=ルペン「国民戦線」党首は、「キワモノ扱い」されていた同党を「脱悪魔化」するために、穏健路線をとってきた。同性婚や妊娠中絶を容認し、レイシズム発言をした党員は党籍が剥奪されるようになった。そして、欧州は同性愛に寛容で女性の権利を守る「すぐれた文明」で、イスラムは「遅れた文明」という対立軸をつくり、理論化した。これは暗殺されたオランダの極右政治家ピム=フォルタイン(彼自身ゲイだった)がとった戦術で、マリーヌは北欧極右の理論を援用した。
(邸宅にて筆者のインタビューを受けるジャンマリー=ルペン『国民戦線』名誉党首 撮影:及川健二)
筆者は2004年から国民戦線を取材対象として、集会に足繁く通い、初代党首のジャンマリー=ルペン名誉党首の邸宅で長時間インタビューしたし、昨夏、同党本部でマリーヌ党首にも直撃取材した。
フランスでは「2大政党制」から「3党制」に移行したという議論も出てきた。
現在、超多忙のマリーヌに電話インタビューする為に、10年来の知己である国民戦線・広報官と交渉している。
夏期バカンス前には実現したい。
文章:及川健二(France10記者,日仏政治学会員,仏ドキュメンタリー映画監督協会員)
*動画は昨夏マリーヌ=ルペン党首に直撃インタビューしたときのものだ。
コメントを残す